タイムリープ
「いらっしゃいませ」

予約していた男性客が、私の個室に入って来た。50代にしては結構なイケメンで、私の心臓がドクンと音を立てた。

「君の名前、聞いてもいいかな?」

中年の男性は口元を緩めながら、優しい口調で私に訊いた。

「清水……じゃなくて、柊千春です」

一瞬自分の本名を言いかけたが、なんとかギリギリのところで店の名前を言った。

「早く、慣れないとなぁ………」

私は目の前にいる男性に聞こえないぐらい、小さな声でぼそりと呟いた。

「千春ちゃんか………」

それを聞いて中年の男性は、うんうんと頷いた。

「あの〜、お名前教えてもらっていいですか?」

私は、敬語で中年の男性に訊いた。緊張していたせいか、声が固かった。
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