タイムリープ
「えっ!」

その名前を聞いて結衣は、驚いた顔をした。

「確かにそう名乗っていましたけど、どうしたんですか?」

私は心配そうな表情を浮かべ、首をかしげた。

「この斎藤っていう客、私のときは井上って名乗っていたのよ」

「えっ!」

結衣のかすれた声を聞いて、今度は私が驚いた顔になった。

確かに自分の名前がすんなり出てこなかったのは、今でも不思議に思う。

「でも初めて会う人に、本名を教えることなんてなかなか出来なくない?ほら、私たちだって、本名隠してるじゃん。きっと、言いにくいんだよ」

と、へらへら笑いながら、私はそう答えた。

「私も最初はそう思って気にしてなかったんだけど、最近になって怪しいなぁと思い始めたの。だから、ネットで調べたの」
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