タイムリープ
「そう。姉ちゃん、勉強………がんばってたもんね」

とっさに嘘をついた私の言葉を信じてくれたのか、翼は口から小さな声を出した。

翼に嘘をついた罪悪感が、私の心を苦しめた。

「ごめんね、翼」

私は、悲しく笑って翼に謝った。

「いいさ、姉ちゃんの人生だから。僕が、無理やり決めるわけにはいかないから」

翼は首を左右に振って、笑顔でそう言った。

言葉ではそう言った翼だが、本当は私と一緒に奈良県で暮らしたいのが伝わる。

「ありがとう、翼」

私は翼の頭の上にポンと右手を置いて、優しく笑った。そして京都に帰る支度をし、大阪の実家を離れた。
< 158 / 210 >

この作品をシェア

pagetop