タイムリープ
「それ、俺を喜ばせるためにわざと嘘をついてるんだろ。それが、お前の仕事だもんな」

そう言って優太は、私を見つめた。

私を見つめる優太の目は冷たかったが、どこか哀しい色も浮かんでいた。

「なに……言ってるの?優太」

私の口から、かすれた声が漏れた。

優太の言ってることが理解できず、私は不思議そうな顔をした。

「俺は、清水のすべてが好きだったんだ。そういう仕事をしていても、清水と一緒にいて楽しいと思えていたから好きだったのに………」

優太は切なそうな訴えるような目で、私を見つめた。

優太の今にも泣き出しそうな瞳が、涙で悲しく潤んでいた。

「なに言ってるの優太?私、嘘なんかついてないよ!」

私は、すぐに否定した。

事実、私は嘘なんかついてるつもりはなかったし、優太のことが好きだった。

「じゃあなんで、俺とのデート断ったんだ。約束してたのに………」

優太は、トーンを落として訊いた。
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