タイムリープ
＊


ーーーーーーそれ以来、結衣とは会うことはなかった。

「まさかね………」

一瞬ものすごい勢いで斎藤さんの姿が頭に浮かび上がったが、私は首をぶるぶると振ってかき消した。

ーーーーーーあんな優しい人が、殺人者なんかじゃない。ネット掲示板サイトに書かれていることは、全てデタラメだ。

そう思って私は、スマートフォンを閉じた。

「さっきから二人で、なに話してんの？」

前の席で白いイヤホンを耳につけながら文庫本を読んでいた、山田優太が私たちに声をかけてきた。

黒縁メガネをかけており、茶色がかかった髪の毛を短く切り揃えている。すらりとした痩せた体型で、褐色の肌。目尻が下がった優しいタレ目に、薄いピンク色の唇。

ーーーーーードクン！

「優太君………」

彼を見ると、私の心臓の鼓動が激しくなる。

それは彼とR大学のときに出会って、共に同じ文学部として一緒の時間を過ごしたのがきっかけだった。

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