タイムリープ
「え!」

若い男性の口から、驚きの声が小さく漏れた。

「どうして?時間さえ戻ってくれたら、別れずに済むんだよ。好きな人と、ずっと一緒にいられるんだよ」

後ろから、若い男性の大きな声が聞こえた。

「戻ったところで、時間は進むから別れは絶対くるよ。どんなに好きでもね」

しんみりとした声で、私は言った。

「どんなに好きでも………」

「うん、別れはくる。どんなに好きでも」

私は、優太のことを思い出して言った。

彼のことは好きだったが、結局別れる結果になってしまった。

「そうですよね。出会いがあれば、別れも当然ありますよね」

若い男性は、わざと明るい口調で言った。

やはり私との別れが辛いのか、声は震えていた。

「でも、もう少し一緒にいたかったなぁ」

若い男性は私と過ごした二年間のことを思い出しているのか、声がかすかに震えていた。
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