タイムリープ
「斎藤さんの写真、撮ってもいいですか?私、今日で仕事辞めるから、最後に私のお客さんの中でも一番好きだった、斎藤さんを撮りたいの」

また、私は嘘をついた。

「別にいいけど、千春ちゃんと一緒じゃダメなの?」

斎藤さんが、不思議そうな顔で私に訊いた。

「ごめん。それは、お店のルール上、できないの」

「あっ!そういえば、男性従業員がそんなこと言ってな」

斎藤が、思い出したように言った。

「ごめんね」

適当に口だけ謝った私は、三センチぐらいの切り傷がある左腕と、彼全体の写真を撮った。

ーーーーーーこれで、彼が犯人だという証拠を手に入れることができた。

私は、死の運命から生きる運命に変わったことによって、心の中で大きな喜びを感じた。
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