タイムリープ



「お願いです、私を助けてください。今から私、殺されるんです」

斎藤さんが帰って、一通りの仕事が終わった後、私は店を出て慌てて交番に向かった。

辺りはすっかり暗くなり、私の仕事が終わる頃はいつも街は、夕方から夜へと移り変わっている。

「どういうことだね?」

私のただならぬ様子に気づいた男性警官が、低い声で訊いた。

交番内には指名手配の貼り紙が壁に貼られており、なんだがそれを見るだけで恐怖を感じた。

「今日、殺されるんです。それは、本当なんです。だから、助けてください」

「落ち着いて。一体、誰に殺されんだね?」

男性警官が、落ち着いた口調で私に言う。

「斎藤………です」

「斎藤………」

男性警官が、眉間にしわを寄せた。

「はい。でも、私の同じ仕事仲間には井上と名乗っていたらしく、ネット掲示板にも斎藤とか井上とか書かれていました」

「井上!」

井上という名前を出した瞬間、男性警官の表情が変わった。
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