タイムリープ
「結衣………」

私の口から、自然と涙混じりの声が漏れた。

ーーーーーー結衣があのとき本当に恐怖を感じていた思うと、悲しみの感情と救ってあげれなかった自分への怒りが押し寄せてきた。

「彼女の言っていた通り、犯人は25年前の和田哲也と同一人物だということも、床に落ちていた数本の黒い髪の毛で分かった。そして彼女を殺害するときにもみ合いになって、犯人の左腕に三センチぐらいの切り傷が残ったことも分かった」

「は!」

男性警官の話を聞いて、私の頭に斎藤さんの姿が浮かび上がった。

「………あるんです」

「えっ!」

私のボソリと呟いた声を聞いて、男性警官がピクリと眉を動かした。

「斎藤にも、犯人と同じ左腕のところに三センチぐらいの切り傷があるんです」

私は、先ほど嘘をついて斎藤を撮影したスマートフォンをポーチから取り出した。そして撮影したこれまでの写真の中から斎藤の写っている写真を選び、私は男性警官に見せた。

「これは………」

ディスプレイに映っている斎藤の左腕の傷と顔写真を見た男性警官は、目を丸くして驚いた。
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