タイムリープ
「はぁ〜。それより詩織、私の首元になにか見える?」

私は、自分の首元を指差した。

「別に、なにも見えないけど」

「そう」

私は、小さな声で言った。

ーーーーーー神様の言った通り、本当に自分以外の人にはこのハートのペンダントは見えないらしい。

私は、ハートのペンダントに視線を落としてそう思った。

「ねぇ、詩織」

「なに?」

私のトーンを落とした声を聞いて、詩織が首をかしげた。

「優太君とは……どうだったの?」

私は熟れたトマトのように顔を赤くし、恥ずかしそうに詩織に聞いた。

彼のことを思うだけで、私の全身が熱くなる。

「めちゃくちゃ楽しかったよ、梢」

私とは反対に、詩織はトーンを上げて答えた。

詩織の楽しそうな笑顔を見ると、私は切なくなる。

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