タイムリープ
優太と一緒に着いた場所は、大学の食堂だった。
広々とした空間に、テーブルとイスがたくさん置かれている。

お昼前の時間だったせいか、学生の数が多く見られた。

「お腹空いたろ、なんかおごるぜ」

「えっ!」

優太がポケットからメンズの長財布を取り出し、私に言った。

「そんないいよ」

私は驚いた顔をして、ぶるぶると首を左右に振った。

「気にすんなよ。今、俺に付き合ってくれてる、お礼だと思ってさ」

優太は名前の通り優しい笑みを浮かべて、私に白いトレーを渡した。

「ありがとう」

私は頬を赤らめながら、小さな声で言った。

「いいって」

優太は、笑ってそう言った。



私は優太に昼食をおごってもらい、空いている席に向かい合わせで座った。
付き合っているのだろうか、食堂には学生の男女が一緒のテーブルで食事をしている光景が見られた。それを見るとなんだか私たちも付き合っているようで、さっきよりも心臓の鼓動がさらに激しくなるのを感じた。

ーーーーーーどうしよう?優太君と二人で食事だなんて、緊張するよぉ〜。

私は優太君におごってもらった、白いテーブルの上に乗っているカレーライスを食べながらそう思った。


< 56 / 210 >

この作品をシェア

pagetop