タイムリープ
「犯人、捕まってよかったなぁ」

「えっ!」

カレーライスを食べていると、突然、優太君が私の目をまっすぐ見て言った。

ーーーーーードクン!

彼と目が合って、私の心臓がドクンと跳ねた。

「そ、そうだね」

私は緊張した表情を浮かべながら、小さな声でそう答えた。

「俺、清水のこと心配してたんだ。もし、この犯人が捕まらなかったら、俺はもう、清水と会えないような感じがしたんだ」

「えっ!」

私の目の前にいる優太が、目を細めてしんみりと言った。それを聞いた私は、目をかっと見開いて驚いた。

「でも、犯人も捕まったし、本当によかったよ」

優太は微笑んで、カレーライスを食べた。

「優太君………」

LINEの文面通り、彼が私を心配してくれていたと思うと、涙腺が緩んだ。

「なぁ、梢。今度は、お酒飲みに行こうな!」

「えっ!」

突然、彼に下の名前で呼ばれて、私の心臓がドキドキと大きくなる。

彼はまっすぐ私を見つめており、私の顔がかっと熱くなった。

ーーーーーー今、私のこと、梢って呼んでくれた?名前で呼んでくれたの?

ドキドキと一秒ごとに加速する、私の心臓の鼓動。それと共に、私の頭の中は真っ白になった。
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