タイムリープ
「こんな話するのは、友人の梢だけだからね」

友人だからか、詩織はまっすぐ私を見つめて言った。

「‥‥‥‥‥応援しないとね」

私は、ボソッと呟いた。

「え、なにを?」

と、聞き返す、詩織。

「友人だからその詩織の恋、私はしっかり応援しないとね」

にっこりと笑みを浮かべて、私はまた嘘をついた。

本当は、応援なんかしたくない。私も、優太のことが好きなんだから。

「ありがとう、梢。私、がんばるね」

そう言って詩織は、私の手をぎゅっと握った。

「が、がんばってね」

私は、かすれた声で嘘をついた。

今の私はタイムリープする前より確かに幸せだったが、友人の詩織に嘘をついてる罪悪感が心を苦しめていた。
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