sugar & coffee
「 いーじゃんいーじゃん!遊ぼうよ! 」
「 女の子が1人でいるのって危なくなぁい?
俺らが守ってあげるよ?どう? 」
「 俺ら、可愛い子の味方だよ? 」
治安がいい、という、お父様の言葉を
鵜呑みにしていた自分に腹が立った。
どれだけ治安が良くても、
少なからず悪い人はいる。
そんなことも、私は分かっていなかった。
そんな自分が嫌で、
どうにもならないこの現状が怖くて、
頭が真っ白になる。
「 おい。 」
急に聞こえた、低くて優しい声に
真っ白な世界が一転した。
すごく不機嫌そうな声。
なのに、その人の優しさが滲み出ている声。
この声の持ち主は、絶対私の敵じゃない。
そのことがすぐに分かった。
「 あ?なに?誰お前。 」
一斉に声のした方へ目を向ける4人組。
ちょうど、4人の身体が壁になって
私からは声の持ち主の姿が見えない。
「 くだらねぇことしてんなよ。 」
落ち着いたその声に、
4人組は嘲るように笑った。
「 なに?ヒーロー気取りってやつ? 」
「 ひゅ〜!かっこい〜っ! 」
「 でも残念。
この子、俺らの連れなんだよね 」
4人組の内の1人に肩を抱かれ、
体を引き寄せられる。
初めて、声の持ち主の姿が見えた。
一瞬、時間の流れがゆっくりに感じられた。
周りにいたはずの、たくさんの人たちも
視界に入ってこない。
肩を抱かれているはずの
あの4人組の姿さえも入ってこない。
私の世界に、その人だけしかいない。
なぜだか、そんな感覚に陥る。