sugar & coffee


「 おい。 」


さっきと同じ言葉。

だけど、今度の言葉は、私に向けた言葉だと

すぐに分かった。


さっきと変わらず、気怠さのこもった声では

あったけど、苛立ちのこもっていない声。


「 こいよ。 」


あの人の方へ行けば、助けてくれる。

そんな確信を持った私は、

一歩踏み出そうと、足を動かした。


「 っ!!!!! 」


同時に左肩に感じた痛み。

肩を抱かれていた手に

強く強く力を込められていた。


「 行かせるかよ。 」


耳元で囁かれた、嘲るような声に

悪寒が走った。


「 ちっ。めんどくせぇ 」


そんな声が聞こえたかと思うと、

2mくらい離れていたはずの人が

真横に立っていた。


言葉に出来ないような、嫌な音が

耳元で聞こえたかと思うと、

肩に感じていた重みが消えた。



私の肩を抱いていたはずの男は、

地面へ横たわっていた。


あまりの出来事に、頭がついて行かない。


「 は…? 」


周りの男たちも、あまりの出来事に

少しの間固まっていた。


「 てめぇ、、、 」


我に返り、その人に殴りかかろうとした

男の手は、別の人によって阻止された。


「 お前らの相手は俺らがしてやるよ? 」



気付いたら周りには、見覚えのない

男の人が2人。


きっと、銀色の髪の方に目を奪われて

気付けなかっただけで、

銀色の髪の方のお友達だろう。



呆気にとられたまま、銀色の髪の方に

目を向けると、その人が私の方を見た。


交わる視線に、鼓動が早まる。


< 16 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop