sugar & coffee
「 君ってほんっとに面白いね?
名前なんて言うの? 」
「 美琴です 」
笑いながらの質問に、
思わず即答してしまうと、
ゼロくんさんの整った顔が、
一段と険しく、怖くなってしまった。
「 お前、自分の置かれてる状況
分かってねぇの?
さっきあんな目に遭ったばかりだって
いうのに、何簡単に名前なんて
教えてんだよ、このバカ女 」
ゼロくんの言葉に驚いて、
体が震えた。
産まれてからずっと、私は人に
怒られたことがない。
と、言うより、私のことを
怒れる人なんていなかった。
お父様とお母様に気に入られるために、
私がどんなにいけないことをしてしまっても
誰1人怒ってなどくれなかった。
喜ぶべきではない状況なのに、
怖いのに、申し訳ないのに、
それでも、どうしても嬉しくて、
鼓動が早まるのを感じた。