sugar & coffee


「 私は 〜〜〜〜…。 」


おじさま達の自己紹介も頭に入ってこない。

話してるのは全て家柄のこと。

私と結婚することでお互いの家に生まれる

メリットのことしか話してない。

みんな、私ではなく、お母様に

自分を売り込もうと必死になっている。


せめて、せめて。

お家ではなく、私を見てくださる方なら。

そんな方がいてくださるなら、

結婚を考えてもいいと思えるのに。




4時から始まったこのお見合いのような時間。

やっと終わったと思ったら、

時計の針はもう7時30分を指していた。


みなさまに一言お礼を申し上げ、

お見送りした後、

楽しそうなお母様に腕を掴まれた。


「 どうだった!美琴ちゃん!!

誰が1番気になった?? 」


ワクワクしながら私の返事を待つお母様。


「 お母様、ごめんなさい。

私、ちょっと疲れてしまったの。

今日はもうお休みさせていただいても? 」


期待と違った私の返事に、

心の底から残念そうな顔をするお母様。

と、思ったら、急に元気を取り戻された。


「 そうよね!!直感も大切だけど、

一晩じっくり考えることも大切よね!

今日はしっかり休んで、明日また

お話ししましょっ? 」


それだけ言うと、おやすみ〜!と、

軽い足取りでお部屋へと戻られた。



お母様がお部屋に戻られたことを

確認した私は、

そっとお父様のお部屋へと向かった。


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