今宵浮かぶは陰陽の名
『行ってきます。』

「「「「いってらっしゃいませ、藍様。」」」」


朝食後、白いブラウスに黒色のスカート
ベージュのニットベストを着衣した藍は
自身が通う燕子花学園(カキツバタ ガクエン)に登校する。







自身が”陰陽師”であることは内緒にして……




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





「おはよー!!」「あ、おはよう!」

「おい!昨日のあのテレビ観たかよ!?」「あぁあの…」




たくさんの声で響き合う下駄箱、廊下、校舎……




ガラッ




シーン…





藍が登校し、教室に入ると賑やかだった教室からは一瞬で静寂がもたらされる。


藍が誰にも気づかれないようなため息を吐いて自身の机に向かって歩き始めたのと同時に何事もなかったように教室は再度生徒の声で賑やかになる。




「あら、上社さん。おはよう。
今日もとてもみじめな姿ねぇ~?」



家での藍は、容姿端麗であるが
学校では三つ編みに分厚いメガネ、そして学校唯一の膝下スカート。



派手目な女性が多いこの学校では一際藍の地味な格好が目立ってしまうのだ。






『おはようございます。
(この人…名前なんだっけ……。)』


ぼんやりとそんなことを考えながら気にしていない素振りで挨拶する。



「この…地味女………。」





そして、藍はイジメや悪口、陰口など気にしない性格の持ち主であり興味がない為とても冷淡な対処で相手と接してしまう。

この事が相手をイライラさせているとは…
思ってもみないのだ。




だからこそ、イジメられる対象となってしまう。






< 3 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop