K
1
思い出と記憶は一緒のようなもので、記憶の中で特に覚えてるものを思い出と呼んでいるようなもの。


この二つは時が流れるにつれ内容に曖昧さが生まれて、いつかは忘れてしまう。


だから、私はここに残すことにした。


誰にも言えない、誰も知らない。


私と彼の間にあった出来事たちを。








私たちが出会ったのは高校受験の試験会場だったらしい。


私は覚えていないけれど、彼はよく覚えていたらしい。



勉強が苦手な私は中学三年になり、親から塾に放り込まれ、1年間猛勉強をした。

その努力を発揮させる第一志望校の後期受験日。
忘れもしない数学のテストの時間だった。


ものすごくお腹が痛い。

テスト前に食べた機能で賞味期限のコンビニおにぎりのせいか、ビックウェーブが私を襲った。

運良く問題を解き終えた後で、私は途中退席をしたのだった。



その受験会場で私を見ていたのは、その後付き合うことになるカズキだった。


カズキはその時、私は体が弱いものだと思っていたらしい。

ただの腹痛だったとは彼の夢を壊すことになるようであまり言えない。(恥ずかしいので言えない。)


そんな私をカズキは一目惚れだったという。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop