クールな部長とときめき社内恋愛
「年上の彼氏に振られて傷心の舞花は、慎重になりたいから質問しちゃったんだろうけど……たぶん噂になっていると思うよ。“重たい女”ってね」

「……ちょっと確認したかっただけなのに」

恋人ができたとき、“結婚までの相手”として扱われて振られるのは嫌だから。
だけど気にしすぎてトラウマになったらどうしよう、と前髪を指でとかしながらわたしはため息をついた。

美知が総務部の男性を紹介しようとしてくれたけど、重たい女のイメージがついちゃったら、社内での出会いは諦めたほうがいいかもしれない。

いいよ、別に。とにかくわたしはもう失敗したくないんだから、いい恋愛をできるように自分なりに頑張るの。

「そうだ、今日からだよね、舞花のところに第二営業課の……」

「あっ、朝から挨拶するんだった、早く行かないと。じゃあ美知、またね!」

美知の言葉ではっと思い出したわたしは、慌てて化粧室を出てデスクへと向かった。

今日から第二営業課の藤麻逸希《ふじまいつき》さんが、三課へ臨時でやってくる。たぶん、彼の二課での営業成績が評価され、三課の成績を上げるために上層部が考えた短期の異動だと思う。
藤麻逸希さんの兄、藤麻春伸《はるのぶ》さんも二課に勤めていて、エリートの“藤麻兄弟”は社内で有名な人たちだ。
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