クールな部長とときめき社内恋愛
これまでのことを振り返っていると、急に美知が視線を落とした。

「あのね、飲み会のときのこと、噂になるかもよって言ったのは冗談のつもりだったの。でも、総務の男子たちが本当にペラペラしゃべっていたみたいで……。ごめんね、わたしそれを最近知って、そういうこと言うなってちゃんと注意したから」

申し訳なさそうにする美知にわたしは、「ありがとう。美知のせいじゃないから、気にしないで」と穏やかに伝えた。

「沢本くんたちがわたしのことを話しているのを実際聞いちゃったんだけど、そのときも藤麻さんがそばにいて、沢本くんたちのことやんわり追い払ってくれたんだ」

「そっか……よかった、舞花に嫌な思いさせちゃったと思ってたから……」

沢本くんたちに絡まれたときも、藤麻さんがさりげなくわたしを庇ってくれた。
ほっとしている美知の顔を見ながら、彼は優しい人なんだとまた心の中で惚気てしまった。

「舞花にとって藤麻さんは、運命の人だね。だって、彼氏と別れた日にぶつかった相手で、元カレと新しい恋人が一緒にいるところを見てショックだったときも、偶然そばにいるんだから。そういう偶然も間違いなく運命だよ」

わたしも、そう思ってしまう。
いろいろな偶然があったから、藤麻さんとわたしは惹かれ合うことができたのかもしれない。

彼との出会いを振り返り、特別に想う気持ちがさらに強くなって胸が温かくなった。
< 100 / 151 >

この作品をシェア

pagetop