クールな部長とときめき社内恋愛
思わずムキになってしまった。
逸希さんから話を聞いて、そういう人がいるっていうことに嫌な気持ちになったから、わたしは一緒にされたくないって思ったのだ。

「ああ、君が逸希のことしか頭になっていうのはわかった。だから、悪かったよ。俺から言うべきではないことを君に教えてしまったことを謝っておく」

少しだけ口調がやわらかなものになったような気がした。
そうか、春伸さんなりに逸希さんのことを考えているのかな。

「もう解決したのでいいんです。最初はどうであれ、わたしは逸希さんのことが好きになって、彼もわたしのことが本気で好きだと言ってくれているので。それよりも、ふたりは仲直りしているんですか?」

「どうかな、あいつ結構キレていたから」

「でも、仲悪くはならないですよね。お兄さんは意外と弟思いみたいですし」

数日一緒にいたから、逸希さんのいたずらっぽい笑みがうつってしまったような気がする。
なんだこの女、と思われてしまったかもしれない。一瞬まずいと思ったけど、春伸さんはふっと笑った。
これって、並田さんが言っていた穏やかな顔?

「そういう優しい表情もするんですね」

「……馬鹿にしているのか」

「と、とんでもないです!」

まさか、春伸さんとこうして話せるとは思っていなかった。
頬を緩めていると「舞花?」と、名前を呼ばれたので顔を向けると、逸希さんが通路の方からやってきた。
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