クールな部長とときめき社内恋愛
「逸希さん、そんなに怒っているんですか!?」

通路へ出る前に彼の腕を掴んで引っ張ると、彼は眉尻を下げて困ったような顔で振り返った。

「もう怒ってないけど、ちょっと嫉妬しただけ」

目を逸らしながらそう言った後、すぐにわたしへ視線を戻した逸希さんは小さく笑った。
なんだか、かわいい言い方をする。わたしならこんなふうに素直には言えないかもしれない。

「かわいいですね、逸希さん」

「……は?」

目をぱちぱちさせる逸希さんを笑いながら、わたしは歩き出す。
かわいいと言われたことに唖然としているようだった。

「ちょっと待てくれ、舞花。今のは取り消してほしい。なんだか俺が情けないだろ」

「はい。仕事はじまりますよ、行きましょう」

これから、もっといろいろな逸希さんの表情を見たい。
きっとこれが、わたしの運命の恋なんだって心からそう思うから。
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