クールな部長とときめき社内恋愛
2.わたしの部屋にある彼のシャツ
わたしの恋愛遍歴なんて、普通レベルのものだ。
高校時代に付き合った人はふたり、大学生のときに元カレと出会って二年付き合った。そして今は、前の恋が少しトラウマのようになっていて、怖いと思うときがある。

だけど、過去の恋愛を振り返って誰かに話をしていると、自分の中で少しずつ整理できていくというか……悲しいと思っていたことも、話す前より楽になったような気がする。

元カレの話を聞いてもらうだけで重たかった気持ちが軽くなるんだから、わたしは結構単純な人間なのかもしれないなと、藤麻さんと話をしていて思った。


――ピピピピッ、とそばでスマートフォンのアラームが鳴っていることに気づいたわたしは、だるい体を動かして音を止める。

あれ、朝だ……わたし床で寝ていた……? 起き上がってみると、テーブルの上にビールの空き缶が散らかっていて、すぐに昨夜のことが蘇ってくる。

そうだ昨日は、藤麻さんに部屋まで送ってもらった後なぜかふたりで話が盛り上がってしまった。自分の部屋だからさらに酔っても平気だし、わたしももう少し飲もうかなと言ってビールを飲みだして……。
記憶通りソファを見ると、藤麻さんが横になって眠っていた。

どうしよう、藤麻さんがわたしの部屋に泊まっている!
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