クールな部長とときめき社内恋愛
藤麻さんがわたしの部屋に泊まっただなんて、会社の人に知られたら大騒ぎになりそう。確か付き合っている人はいないって、昨日ビールを飲みながら言っていたけど、フリーなら社内外問わず彼を狙っている女性は多いはず。

それよりも、藤麻さんの前にシャワーを浴びるかそれとも後にするか悩む。
時間がないっていうのに、もう、どうしたらいいの!

しばらく悩んでいると、藤麻さんがコンビニから戻ってきた。彼は朝食にとサンドイッチを買ってきてくれて、飲み物はコーヒーとりんごジュース。

「昨日の夜言ってただろ、『彼の前では大人ぶってコーヒーを飲んでいたけど、本当はジュースが好き』って」

「あ、ありがとうございます」

彼にいろいろなことを話してしまった記憶がぼんやりと浮かんで気恥ずかしくなるし、シャツのボタンを外しながらふっと笑った藤麻さんに、ドキドキしてしまう。
失礼なことを言うと思ったら気遣ってくれて優しかったりするから、いつのまにか彼のペースになってしまうのかも。

「……あの、脱衣場で脱いでください。わたしもその後シャワーを使うので、急いで!」

「はいはい」

軽い返事をしながらシャツを脱いでお風呂場へ向かった彼の背中が視界に入って、顔が熱くなる。肩や腕、しっかりしているなと思ったら頭がぽうっとしてきて、はっとしたわたしは変な気分を打ち消し、サンドイッチを食べてりんごジュースを飲んだ。
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