クールな部長とときめき社内恋愛
「……藤麻さんが社長の息子だっていうのは噂になっているし、周りもある程度確信しているんだから、もういっそのこと認めたらどうですか」
「あれ、なんで機嫌悪くなってるんだよ。そうだ、脱いだパンツはいつ取りに行っていい?」
「知りません!」
突き放すように歩くスピードを速めたけど、なにも気にしていない様子の藤麻さんは「待って、友野さん」とわたしの後をついてくる。
自分の気持ちに収拾がつかなくて八つ当たりのようになってしまった。だけど、振り回されるほうの身にもなってほしい。
そう思いながら休憩スペースのそばまできたとき、自販機で飲み物を買っている男性がいて、あっ……と思った瞬間に相手がこちらに向かって声をかけてきた。
「うちの課から消えたと思ったら、お前三課で女追いかけ回しているのか」
呆れた顔をしながらコーヒー缶を片手に持って近寄ってきたのは、藤麻さんの兄、春伸さんだ。似た顔をしていても、黒髪に眼鏡でエリート感たっぷりのお兄さんのほうは、なんだか威圧感がある。
反射的に立ち止まって相手に小さくお辞儀をしたわたしは、弟の藤麻さんを振り返った。
自分の兄を前にして、藤麻さんはとても嫌そうな顔をしているような気がした。
「あれ、なんで機嫌悪くなってるんだよ。そうだ、脱いだパンツはいつ取りに行っていい?」
「知りません!」
突き放すように歩くスピードを速めたけど、なにも気にしていない様子の藤麻さんは「待って、友野さん」とわたしの後をついてくる。
自分の気持ちに収拾がつかなくて八つ当たりのようになってしまった。だけど、振り回されるほうの身にもなってほしい。
そう思いながら休憩スペースのそばまできたとき、自販機で飲み物を買っている男性がいて、あっ……と思った瞬間に相手がこちらに向かって声をかけてきた。
「うちの課から消えたと思ったら、お前三課で女追いかけ回しているのか」
呆れた顔をしながらコーヒー缶を片手に持って近寄ってきたのは、藤麻さんの兄、春伸さんだ。似た顔をしていても、黒髪に眼鏡でエリート感たっぷりのお兄さんのほうは、なんだか威圧感がある。
反射的に立ち止まって相手に小さくお辞儀をしたわたしは、弟の藤麻さんを振り返った。
自分の兄を前にして、藤麻さんはとても嫌そうな顔をしているような気がした。