クールな部長とときめき社内恋愛
「かわいい君をそばに置いておくのは、もちろん楽しかった。しかし、結婚となるとそういうものとは別になる。君と僕は、結婚を考える仲ではないだろう?」

なだめるような優しい口調の晃久さんに、受けた衝撃がズンッと重く心にのしかかって、なにも言うことができない。

わたしは恋愛の延長が結婚だと思っている。
好きな人と付き合って、その人をよく知って、一緒になりたいって心から思える大好きな人と結婚する。

付き合いはじめから結婚するって決めているわけじゃないけど、一緒にいたいって思うくらい好きな人じゃないと付き合ったりしない。

でも彼は違うの?
一緒にいたいって思って付き合っていなかったの?

「君に別れを言うのは心苦しく感じているよ。でも君なら僕よりもいい人を見つけられるだろう。今までありがとう、楽しかった」

申し訳なさそうにしながらも小さく笑みを作ったのは、なぐさめのつもりなのだろうか。わたしは、そんな言葉が聞きたいわけじゃないのに。
ふたりの時間は楽しかっただけ?
そこにあった彼の想いは、どれくらいわたしと同じだったのだろう。

好きっていう気持ちは、結婚する理由にならないの? 付き合ってきた約二年、“結婚までの女”っていう扱いをされていたということに、これまでの自分の想いを裏切られたような気持ちになった。
彼の想いはその程度だったんだ……。
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