クールな部長とときめき社内恋愛
今まで藤麻さんのそういう噂はいくらでもあっただろうけど、気にすることはなかった。
でも今は……なんだろう、ちょっと気になる。
「まあ、とりあえず、並田さんって特別らしいよ。普段、女性社員と一緒に帰ったりしないっていう藤麻さんが並田さんとは一緒に帰ったりするらしいからね」
こちらの反応を窺うようにしながら話す美知に、わたしは黙って考え込む。
そんなに仲がいい女性がいるなんて、知らなかった。並田さんのことも、藤麻さんは笑ってからかったりするのかな。
そう思うとモヤモヤというか、ムカムカしたようなものが胸に広がっていった。
今回、並田さんが企画に関わった新商品を三課が担当するから、もしかしたら見かける機会が多くあるかもしれない。
美知と食堂で別れて、どこかすっきりしない気持ちにため息をつきながら通路を歩いていると、休憩スペースから藤麻さんが出てきた。
食堂で美知と話をしていたし、今も彼のことを考えていたからドキッとして立ち止まってしまう。
彼はわたしに気づいていなくて、こちらに背を向けてオフィスの方へ向かった。
わたしったらひとりでなにをやっているんだろう、と歩き出そうとしたとき、後ろから「逸希くん!」と彼を呼ぶ声がした。
それに振り返った藤麻さんがわたしに気づいて一瞬目を向けたけど、すぐに声のした方へ視線を向ける。
「穂乃恵さん」
「久しぶり! 新商品のことで最近忙しくて、全然会えなかったよ。少しだけ挨拶しにきたんだけど、春伸は元気? あ、そういえば逸希くん、三課に異動したんだよね」
わたしの横を通っていった女性、並田穂乃恵さんは噂通り藤麻さんと親しそうだった。
でも今は……なんだろう、ちょっと気になる。
「まあ、とりあえず、並田さんって特別らしいよ。普段、女性社員と一緒に帰ったりしないっていう藤麻さんが並田さんとは一緒に帰ったりするらしいからね」
こちらの反応を窺うようにしながら話す美知に、わたしは黙って考え込む。
そんなに仲がいい女性がいるなんて、知らなかった。並田さんのことも、藤麻さんは笑ってからかったりするのかな。
そう思うとモヤモヤというか、ムカムカしたようなものが胸に広がっていった。
今回、並田さんが企画に関わった新商品を三課が担当するから、もしかしたら見かける機会が多くあるかもしれない。
美知と食堂で別れて、どこかすっきりしない気持ちにため息をつきながら通路を歩いていると、休憩スペースから藤麻さんが出てきた。
食堂で美知と話をしていたし、今も彼のことを考えていたからドキッとして立ち止まってしまう。
彼はわたしに気づいていなくて、こちらに背を向けてオフィスの方へ向かった。
わたしったらひとりでなにをやっているんだろう、と歩き出そうとしたとき、後ろから「逸希くん!」と彼を呼ぶ声がした。
それに振り返った藤麻さんがわたしに気づいて一瞬目を向けたけど、すぐに声のした方へ視線を向ける。
「穂乃恵さん」
「久しぶり! 新商品のことで最近忙しくて、全然会えなかったよ。少しだけ挨拶しにきたんだけど、春伸は元気? あ、そういえば逸希くん、三課に異動したんだよね」
わたしの横を通っていった女性、並田穂乃恵さんは噂通り藤麻さんと親しそうだった。