クールな部長とときめき社内恋愛
声も表情もいつも通りにしたいと思うけど、さすがに顔が強張ってしまう。
上手に隠せるほど、わたしは器用じゃない。
「……なんかあっただろ。泣きそうな顔してる」
藤麻さんが眉を寄せてわたしの頬に触れたとき、涙がじわりと滲んだ。
でも、こんなところで泣きたくないという気持ちが強くて必死にこらえる。
「元カレに会っただけです。もう新しい恋人がいるみたいで、すごく綺麗な人でした。年も近いみたいだし、わたしが振られた理由も納得できるなぁって。はぁー、これでもう完全に忘れられ……」
無理をしてでも笑おうと思ったら藤麻さんの片腕が伸びてきて、わたしの頭をぎゅっと抱えて引き寄せた。
「無駄に強がるなって言ったはずだ」
体が密着したことに動揺しながら、耳もとで囁いた藤麻さんの声にドキドキする。
彼の手に優しさを感じて、体に入れていた力がすっと緩んだ。
我慢しようとしたのに、頼りたくなってしまう。
「この前の言葉が冗談じゃなかったら、藤麻さんに慰めてほしいって言えたのに」
わたしの部屋で藤麻さんが言っていた、『男の傷は男で癒せば? 俺、相手してあげるよ』という冗談を思い出し、少し笑いながら震えた声で呟くと、彼はなにも言わずにそっとわたしを抱きしめ直した。
優しくて、落ち着く。
普段はマイペースで振り回すくせに、さりげなく心配してくれて励ましてくれる。
そんな彼にわたしは、いつのまにか気を許してしまう。
歩道を歩く人々に見られているだろうけど、もう少しだけこのままでいたいと思った。
上手に隠せるほど、わたしは器用じゃない。
「……なんかあっただろ。泣きそうな顔してる」
藤麻さんが眉を寄せてわたしの頬に触れたとき、涙がじわりと滲んだ。
でも、こんなところで泣きたくないという気持ちが強くて必死にこらえる。
「元カレに会っただけです。もう新しい恋人がいるみたいで、すごく綺麗な人でした。年も近いみたいだし、わたしが振られた理由も納得できるなぁって。はぁー、これでもう完全に忘れられ……」
無理をしてでも笑おうと思ったら藤麻さんの片腕が伸びてきて、わたしの頭をぎゅっと抱えて引き寄せた。
「無駄に強がるなって言ったはずだ」
体が密着したことに動揺しながら、耳もとで囁いた藤麻さんの声にドキドキする。
彼の手に優しさを感じて、体に入れていた力がすっと緩んだ。
我慢しようとしたのに、頼りたくなってしまう。
「この前の言葉が冗談じゃなかったら、藤麻さんに慰めてほしいって言えたのに」
わたしの部屋で藤麻さんが言っていた、『男の傷は男で癒せば? 俺、相手してあげるよ』という冗談を思い出し、少し笑いながら震えた声で呟くと、彼はなにも言わずにそっとわたしを抱きしめ直した。
優しくて、落ち着く。
普段はマイペースで振り回すくせに、さりげなく心配してくれて励ましてくれる。
そんな彼にわたしは、いつのまにか気を許してしまう。
歩道を歩く人々に見られているだろうけど、もう少しだけこのままでいたいと思った。