クールな部長とときめき社内恋愛
なにを考えているんだ、と呆れ気味に彼を見ながら、とくに態度の変わらない相手に合わせ、会話をしていた。

そして藤麻さんは明日も仕事だから十時に帰っていって、キス以外はなにもなかった。けど……ひとりになった部屋で改めて、わぁー!と叫びたくなるくらいには混乱した。

だって、キスだよ? まさか藤麻さんとわたしが、そういう雰囲気になっちゃうなんて思わないでしょう。

藤麻さんが普通だったからわたしはなんともないフリをしていたけど、すごい勢いで心臓は鳴っていた。

このまま意識しちゃって、会社で変な態度をとってしまったらどうしよう。
そんなことを考えながらソファから立ち上がって、お風呂の準備をしようと移動したとき、リビングの照明のスイッチ部分に付箋が貼ってあるのを見つけた。

文字も書いてあるようで、気になるから剥がそうと近づくと、『元気だせ』と付箋に書いてある。
もしかして、ただいたずらに貼っていただけじゃなくて、全部文字が書いてあったりするのかな。

目の前の付箋を剥がしてリビングを振り返ると、テーブルの上に貼ってあるものが目についたので見にいった。するとそこには、『いっきに付箋見つけて読むなよー』と書いてあって、思わず口もとが緩む。

「もうっ、なにこれ」

テーブルの脚には『ヤケ酒のときはオレも呼んで』と書かれていて、やっぱり笑ってしまう
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