クールな部長とときめき社内恋愛
さりげない彼の優しさや気遣いが普段よりも特別に感じてしまうのは、ふたりで出掛けているからかな。

わたしが藤麻さんのことを好きだと知ったら、彼はどう思うのだろう。こんなふうに胸を高鳴らせていること、知られたいような、知られたくないような、切ない気持ちになった。


映画を見終わったあとはなんとなくゲームセンターに入って、ふたりで盛り上がった。
エアホッケーで勝負しているとき、熱くなったわたしがパックを打ち込もうとして、勢い余ってマットを飛ばしてしまい、藤麻さんに大笑いされた。

会社では見られないような無邪気な藤麻さんを見て、すっかりわたしもはしゃいでいる状態。

二回勝負したけど勝てなくて、悔しいから次はカーレースに挑戦したけど負けてしまい、協力するシューティングゲームは楽しくてずっと笑っていた。

「藤麻さん、ゲーム強いですね!」

ゲームセンターから出たあと、飲食店のあるフロアに移動してカフェで休憩することにした。
テーブル席で向かい合い、わたしはオレンジジュースを飲みながら藤麻さんに微笑む。

「学生のとき、暇だったらとりあえずゲーセンで遊んでたから」

「そうなんですか……」

ゲームセンターで遊んでいたというのは、ちょっと意外だ。藤麻さんは普段冗談ばかり言うけど、それでも社長の息子でふとした仕草が綺麗だから、こういった場所はあまり行かないのかなって勝手に思っていた。
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