昼下がりの情事(よしなしごと)
Chapter 9 *志郎*
「……おれはただ、今になってこの話を聞いた美咲が『自分さえいなければ……』って、思ってほしくないので」
魚住の言葉で、志郎は初めて、美咲の気持ちになって考えてみる。
……そうだ、そうだよな。
美咲はきっと、そう思うよな。
最初から、初めて向こうから連絡が来たときに、
ちゃんと美咲に話して、ちゃんと美咲の許しを得ていれば。
こんな、こそこそせずに、堂々と子どもたちに会えたかもしれない。
そして……美咲を失うことも、なかったかもしれない。