昼下がりの情事(よしなしごと)
Chapter 2 *和哉*

……相手が相手だけに遅れるわけにはいくまい。

そう思って、約束の時間よりも前に来たはずだったのに。

相手はすでに着いていて、しかも、アイスコーヒーを飲み干していた。

和哉は腕時計を見た。

初めて自分の企画が商品化されたとき、自分への褒美だと思って、思わずボーナスほぼ二回分をはたいて買った、王冠のマークの腕時計は自動巻きだったので、知らず識らず遅れていたのかもしれない。

これだから、舶来品は信用ならない。

< 8 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop