遠い昔からの物語

だけど、「先生」になって少し変わってしまった。いや、「軍神の妻」になってから、だろうか。

丈夫な身体(からだ)が損なわれていくのと引き換えに、末娘特有の少し頼りなげだった気性は失せ、痛々しいまでの気丈さを身につけていった。

亡き夫の忘れ形見の子を(うしな)ったときですら、彼女は実の母にも姉にも、決して涙を見せなかったそうだ。

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