遠い昔からの物語

たまたま向かった方角が山手だったので、わたしたちは命拾いをした。

避難所になっている学校や、火を避けるために川へ向かった人たちが命を落とすことになった。

油を含んで赤黒く燃え盛った業火は、学校は頑丈だと思っている人たちを道連れに、骨組みだけを残して崩れ落とした。

また、それらは川の上を這うように疾走し、猛火から逃れられたと思っていた、水面に浮かぶ人たちを舐め尽くして川底へ沈めた。

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