遠い昔からの物語

井戸に吊るして冷やしてあったお茶を持って座敷へ入ると、彼はわたしが縫っていた慰問袋を取り上げて見ていた。

「もうそろそろ、伯母が戻る頃だと思いますので……」

わたしは彼の前にお茶を差し出しながら云った。

彼は慰問袋を横に置き、「ありがとう」と云ってそれを手に取って一口飲んだ。

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