遠い昔からの物語

その時、勝手口の方で伯母の声がした。

安藝(あき)ちゃん……だれか、来とるん」

わたしは慌てて座敷に戻った。

「……いやぁ、こんなに笑ったのは何年ぶりだろう」

彼はまだ肩を震わせて笑っていた。

「伯母が戻ってきたようですわ」

わたしは彼を睨みつけて云い放った。

それから、今度は勝手口へ行き、帰ってきた伯母に彼の訪問を告げた。

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