遠い昔からの物語

「……どんな凄まじい戦場だって、このことを思い出すと、きっと笑えると思うな」

ひとしきり笑ったあと、彼はぽつりと呟いた。

「入隊はいつなんですの」

わたしは尋ねた。自然と目を伏せていた。

「来週の月曜日」

彼は答えた。正面を見据えていた。

あとは、沈黙になった。

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