遠い昔からの物語
◇第十話◇
彼は毎日来るようになった。
そして、わたしの弱さを知って以来、ぐっと砕けた口調になり、わたしの目をしっかり捉えて話すようになった。
でも、彼に見つめられるたびに、わたしは自分の中の、廣子に似た部分を炙り出されているような気がした。
だから、どうしても、彼に対して素直に心を開くことができなかった。
つい、ぶっきらぼうな、木で鼻をくくったような物云いになってしまっていた。
だけど彼は、弱さを知られたわたしが照れ隠しのために、そのような振る舞いをしていると思っているようだった。