遠い昔からの物語
「ねぇ、廣ちゃん」
わたしは、ふと、彼から昼間頼まれたことを思い出したので、廣子に尋ねてみた。
「弾除けのお守りが欲しいって云われたんだけれど、どうやって作ればいいのかしら」
廣子は心底驚いた様子で、
「……あんたぁ、そがぁなこと、引き受けたん」
思わず方言になっていた。
わたしが「そうよ」と答えると、廣子は焦った様子で、
「安藝ちゃん、中になにを入れるか、知ってるの」
真顔で問うてきた。
わたしが「知らない」と答えると、廣子は「やっぱり」と呟いた。