遠い昔からの物語
「……心の底から、本当にその人に還ってきて欲しい、って思わないと作れないわよ」
しばらくして、廣子は静かに云った。
「安藝ちゃんがそこまで思い切れるんだったら、わたしが作り方を教えてあげる。でも、他の人には絶対、云ったらだめよ」
部屋の中は真っ暗闇だったけれど、廣子の表情が真剣そのものだ、ということは伝わってきた。
「うちの母にもよ……いいわね」
廣子は念押しした。
わたしは「うん」と大きく肯いた。
「廣ちゃんは、旦那さんのために作ったの」
わたしが尋ねると、
「もちろん」
廣子は即答した。
その夜は、久しぶりに深い眠りについた。