遠い昔からの物語

◇第十一話◇


とうとう、彼の入隊のための壮行会の日が来た。

おめでたい席だから、一緒にお祝いに行こうと、伯父も伯母も、そして廣子も云ってくれた。

だけど、わたしは頭を振って、(かたく)なに拒んだ。

弾除けのお守りは、廣子に習って作ってあった。

でも、これは彼には渡せないかもしれない。

わたしは、明日の駅への見送りにも、行くつもりはなかった。

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