遠い昔からの物語

そのとき、恐れていたことが起こった。

突如、警戒警報のサイレンの音が鳴り響いてきたのだ。

わたしは、ラジオに飛んで行って、つまみを捻った。

夜に、たった一人で、空襲を待ち受けるのは、東京にいた頃でも一度もなかった。

真夏なのに、ゾクッとして、背中に一筋、冷たい汗が流れた。

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