遠い昔からの物語

火の元を確認していたら、既に、脂汗が額に浮き出していた。

いよいよ外に出るために、勝手口の戸の(かんぬき)を抜こうとした。

閂に掛けた手が、指が、小刻みに震えている。

そのうち、だんだん息苦しくなってきて、わたしは胸を押さえた。

知らず識らずのうちに、荒い息になっていた。

そして、目の前がさーっと暗くなり、次の瞬間、わたしは土間の上にしゃがみ込んでいた。


……また、「あれ」がやってきたのだ。

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