遠い昔からの物語

どのくらい、そうしていただろう。わたしは、いつの間にか意識を失っていた。

不意に、ドンドンドンッと、外から、勝手口の戸を激しく叩く音がして、正気に戻った。

「……安藝(あき)ちゃん、安藝ちゃんっ、そこにいるんだろっ」

それと共に、大きな怒鳴り声も聞こえてきた。

「早く、ここを開けてくれっ」


……彼の声だった。

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