遠い昔からの物語

そう感じた瞬間、

……兄は、やっぱり、死んだのだ。

初めて、実感を持って胸に迫ってきた。

一瞬にして涙が込み上げ、わたしの両目から、ぼろぼろぼろっと、流れ落ちた。

彼がわたしの肩をぐっと引き寄せた。

わたしは彼の胸に顔をつけ、子どものように声をあげて泣いた。

お葬式のときだって、こんなには泣かなかったのに。

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