遠い昔からの物語

わたしがこの地に疎開した辺りから、歳の頃合いの良い彼とわたしとを添わせてはどうか、という話があったらしい。

兄が亡くなって、一人きりの娘となったわたしの相手として、三男坊の彼は最適だと思われたようだ。

道理で、昼間とはいえ、彼と二人きりで過ごすことを、伯父から咎められなかったはずだ。

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