遠い昔からの物語
わたしは、ブラウスの胸のポケットから、彼のために作った弾除けのお守りを取り出した。
「作ってくれたんだね」
お守りを手にした彼は、うれしそうに微笑んだ。
「絶対に、中は開けないでね……絶対よ」
わたしは頬を赤らめて、念を押した。
彼は返事をする代わりに、わたしを抱きしめ、わたしの唇に自分の唇を重ねた。
わたしたちは、先刻よりももっと強く、深く、互いのくちびるを求め合った。
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