遠い昔からの物語
◇第十三話◇
くちびるを離した彼が、わたしの肩に両手を置いて云った。
「……きみに、お守りのほかに、もう一つ、頼みたいことがあるんだ」
意を決したような声だった。
「あら、なにかしら。わたし、あなたのおっしゃることなら、なんでも云うこときいてよ」
わたしは、少し冗談めかして返した。
「……本当に、僕の云うことなら、なんでもきいてくれるんだね」
彼は、怖いくらい、真剣な顔をしていた。
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◇第十三話◇