遠い昔からの物語

安藝(あき)ちゃん……僕に、もう一つのお守りをくれないか」

彼はわたしの目をじっと見つめて云った。

「いやぁね、そんなに(いく)つもお守りをお持ちになったら、神様同士が喧嘩なさってよ」

わたしは思わず、笑い声を上げた。

だけど、彼は笑わなかった。

ただ、わたしを思いつめた目で見つめるだけだった。

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